学生時代を神戸大学のESSで過ごした同窓生の会です。

37回生 天満 嗣雄

神戸大学ESSが出来て70年余り。しかも、Union Clubを通してESSを立ち上げられた1回生の大先輩から現役の大学生までが出会う機会がある。素晴らしいことです。このような歴史のある組織の会長を務めさせていただくこととなり、身の引き締まる思いです。漆嶋前会長が27回生、私が37回生ですから、10年若返ることとなります。70年余りのESSの歴史の中で37回生ということはほぼ中間に位置することになりますから、これまで以上に多くの若い世代の皆さんにもUnion Clubを身近に感じ、積極的にご参加いただけるよう取り組んでまいりたいと思います。

 

私がUnion Clubに積極的に関わるようになって、10年近くになります。その間に多くの諸先輩方と現役生が交流するのを目にする機会がありました。総会でしていただいた卒業生のミニスピーチを聞いて、現役生がログハウスを建てるプロジェクトを立ち上げたり、卒業生が中心になって行っている英語の勉強会に現役生がゲスト参加したり。私自身もドラマセクションやスピーチセクションの現役生のために英語の発音を教えるワークショップを開いたり、仕事上のご相談をいただいたりと、Union Clubの会員やESSの現役生との交流する機会を得ています。

 

もちろん、会報誌The Bulletinへのご寄稿や総会でのミニスピーチや懇談を通して、また、Union Clubの年会費やいただいたご寄付から提供している活動支援金を通して、諸先輩から後輩たちに対して有形無形の援助が行われています。会員の皆様のご協力・ご支援に感謝します。しかし一方で、20代、30代の若い会員の皆さんには会報誌へのご寄稿や総会へのご参加、総会でのミニスピーチなどに、敷居が高いと感じていらっしゃる方が多いように見受けられます。比較的年代の近い先輩からのアドバイスは現役生にとってかけがえのないものですから、若い会員の皆さんのご寄稿・ご参加もお待ちしております。

 

さて、Union Clubの運営はOB幹事と学生幹事を合わせた10数名によって支えられています。それぞれ本業、学業がある中、無償で(時には交通費を使って)多大な時間と労力をかけて様々な役割を分担してくれています。感謝したいと思います。また、このように時間や労力をかけて、Union Clubの目的である会員相互の交流の場(会報誌、総会、ホームページなど)の提供に尽力してくれる人材が(今のところ)途絶えずに、見つかっていることにも有難いことだと思います。

 

Union Clubは、神戸大学ESSで活動した皆さんの交流、親睦を図り、現役生の活動を支援することを目的としています。ボランティアベースの幹事による運営ですので実施できることには限りがありますが、Union Clubが提供する会報誌、総会、ホームページなどの機会を積極的に活用していただければ幸いです。

2016年2月

 

 

 

漆嶋前会長の会長就任時のあいさつ

27回生  漆嶋 稔

2011年1月22日。神戸にて大学ESSの総会が開催されました。毎年この集いでは、懐かしい人々との再会に心が弾みます。今般、皆様のご承認を賜り、僭越ながら横尾様の後任として会長の職を相務めさせていただくことになりました。ネット上にてまことに恐縮ながら、茲許ご挨拶申し上げます。

 

まず、横尾様には業務ご多忙にもかかわりませず、長年にわたり会長職をお引き受けいただきましたこと、衷心より御礼申し上げます。本当に有難うございました。微力ながら皆様のお役に立てるように尽力申し上げる所存であります。皆様には今後とも何分のご指導ご鞭撻のほどを伏してお願い申し上げます。

 

会長就任に際し、2005年のスタンフォード大学卒業式におけるアップル創業者スティーブ・ジョブズ氏の祝辞(http://bit.ly/9Upkpb)が三題話でしたので、それに倣いましてわたくしも三つお話し申し上げます。

 

第一に、現役学生の皆さんは「万能細胞」であるとお伝えしたい。

第二に、会長職をお引き受けした理由。

第三に、ユニオンクラブ賞の創設について。

 

<第一について>

万能細胞の未来は開かれています。何にでもなれる可能性に溢れています。二十年前後生きてこられた学生の皆さんは、「自分はこういう人間である」というイメージをすでにお持ちかと思います。

かく申すわたくしも、「会社勤めは想像できない」種類のヒトだと自他共に認められていました。ところが、就職活動連戦連敗を経た末に拾っていただいたのが、ガチガチの組織人を求められるはずの銀行でした。後日聞いた話ですが、弊立派な愚妻はわたくしが銀行に入ったと聞き、「それって、どう考えてもおかしいよね」と友人に疑問をぶつけたところ、「いやいや、○○銀行というのは普通の銀行ではないらしいよ」と説明されたため、「なるほど」と納得したそうです。わたくしのせいで銀行に失礼してしまいました。それでも、二十年間勤め上げたのですから、人間は自分の思うよりも柔軟性があるものです。

 

例えば宇宙と原子のように、世の中には、極端に大きさの違うものが同じ構造を持つという話があります。人間と万能細胞もそのような関係にあるように思えます。人間も万能細胞のように、ある環境に置かれると、それに応じて成長していくものなのでしょう。したがって、今「これをしたい」と考えていても、そのことだけに固執しなくてもよいのかもしれません。「むしろ、君はこちらの仕事に向いている」と他人から評価されることもあります。したがって、先に内定を出してくれた会社に入ったりするのもアリだと思います。

 

実際、商社など海外勤務可能な企業を狙っては破れ続けたわたくしも、よりにもよって銀行に入ったおかげで、合計十年間も海外(中国)勤務することができたのですから、結果オーライとなりました。さすれば、「流されてみる」のも人生かなと思うのであります。そのときは不本意なことがあるかもしれませんが、それがもとで新たな世界が展開することもあります。

 

古人は「人生に意味のないものはない」といい、上述のスティーブ・ジョブズ氏の祝辞にも次のような言葉があります。

“You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.”

(点と点の関係など事前にはわからない。それがわかるのはあくまでも事後である。それが人生だ。だからこそ、皆さんには点と点が将来どこかでつながると信じて生きてほしい)

学生の皆さんのご健闘をお祈り申し上げます。

 

<第二について>

会長職をお引き受けしたのは、このESSというクラブに多大な恩義を感じているからであります。第一に、存在を認められたという恩義であります。

南九州の片田舎から出てきたわたくしは、どうにも方向性を定めきれず、あちらのクラブに顔を出したり、こちらの活動に手を出したりとフラフラしていました。よって、二回生の夏合宿までのわたくしは、昔で言う幽霊部員、今で言うヘタレ部員の状態でありました。

合宿に入る前に、宿題のひとつであるスピーチの原稿をスピーチセクションの先輩に見てもらいましたが、「これはスピーチと言えるしろものではない」と門前払いされ、コメントひとつもらえない有様でした。今考えれば、本屋さんでスピーチの参考書を購入したりすればよかったのですが、そこはヘタレ部員でしたのでそういうことも思いつかず、そのまま合宿本番に突入しました。

同期生は二十名前後。予選に臨んだものの、暗記も今ひとつという惨状でしたので、当然予選落ちだな、と肩を落としていました。すると。審査員である先輩が近づいてこられました。「君は予選通過だ。確かに文法も暗記も問題はあったが、内容が面白い。他の審査員は渋ったが、僕が説得した。決勝を楽しみにしている」。この言葉にわたくしの心は震えました。不真面目と指弾されても仕方がないの、それも厳格さで鳴る先輩から自分を認めていただいた。この瞬間は今でも鮮明に覚えています。

「士は己を知る者のために死す」。いささか大袈裟ではありますが、この瞬間からヘタレを返上いたしました。万分の一の恩返しをと思い、三回生ではクラブの裏方を担当すべく渉外担当副部長に立候補して夏春合宿の手配などに勤しみました。

第二の恩義は就職に関するものです。同期の服部氏から電話連絡を受けました。彼のこの連絡のおかげで、○○銀行と再度ご面談いただく機会を得ることができ、就職にいたりました。

第三つの恩義は銀行員として不遇をかこっていた頃です。某支店で取引先担当の日々、営業成績が十三名中最下位であること連続一年二ヶ月。遂にクビ同然に内勤へと配置換えとなったある日。副支店長がススッとこちらに歩み寄ってきました。「寮の先輩から聞いたよ。君は英語が好きなんだってな。毎朝満員電車の中で英字新聞を読んでいるらしいじゃないか。そこでだ、外国為替の部署に転勤してもらうから一ヶ月ほど待ってくれ」

ESSに入っていなければ、英字新聞を読んでいるはずもなく、ここでも救われました。

第四の恩義も銀行員時代。何の前触れもなく、中国語語学研修生に選ばれました。銀行脱藩後、この人事異動に関係した上司から事情を聞かされました。「君はESS出身だよな。だから英語はもう大丈夫なはずだから、中国要員として選んだのだ」。おかげで、脱藩後は中国語も取り扱い可能な翻訳者となりました。正にESSに感謝であります。

以上の通り、学生時代のみならず、今に至るまでESSからの恩恵を受け続けています。さすれば、できる限り何らかのお返しをせねばならぬと思い至ったのであります。

 

<第三について>

ユニオンクラブ賞の創設についてご説明申し上げます。上述の通り、わたくしはESSから様々な形の恩義を受けてきました。その恩返しとして、何ができるかと考えたところ、次のような案が思い浮かびました。

卒業生としてできることは何か。それは現役学生を祝福することではないでしょうか。もちろん我々のできることには限りがあります。そのできる範囲内で学生さんの活動を寿ぐにはどうすればよいか。そこで次のような内容の賞を立ち上げることにしました。

○名称 神戸大学ESSユニオンクラブ賞
○対象 現役学生(1~3年生)から1名
○表彰理由 ESSの士気を高揚させてくれた人、

ESSの運営を地道に支えてくれた人、

ESSに誇りをもたらしてくれた人、

などすなわち、「この人に表彰状を差し上げたい」という人を表彰したいのです

(ただし、大会受賞者などすでに外部から表彰を受けた人を除く)○選定方法3年生全員の総意に基づく○表彰手段表彰状など

具体的な運営方法は、実際に着手してみないとわからないところもありますが、とにかく動いてみようと思います。

長々と申し上げましたが、皆様にはご協力ご支援のほどを改めてお願い申し上げます。

最後に、皆様のご健勝と我らがESSの益々の発展を祈念し、ご挨拶とさせていただきます。

以上

(2011.1.26.)

 

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