1949年、神戸大学ESSは1回生により創設されました。すなわち、われらがESSはすでに60年に及ぶ歴史を誇ることができます。人間に譬えるならば、優に三世代をカバーできるほどです。実際、神戸や東京などで開催される集いには正に三世代の人々が顔を見せ、世代を越えた交流で盛り上がるのが常であります。これほどの集まりは、世の中を見渡してもそうあるものではありません。
さて、ユニオンクラブ(UC)のことです。ESS創立50周年記念の年、すなわち、UC創設44年目にして、UCは1、2回生の諸先輩の方々のお力で再編され、整備されました。換言すれば、それまでの間、UCはその命脈を細々と保ってきたというのが偽らざるところです。何十年にもわたり、諸先輩のご協力を得ながら、歴代の現役学生が住所録を管理し、総会を開催し、会報誌を発行するという作業を続けてきました。この作業に携わってこられた方々のご努力がなければ、今日のUCは存在しなかったのであり、改めて深謝申し上げます。
新生UCの重要プロジェクトの一つに位置づけられたのは、会報誌「The Bulletin」です。その第1号は2003年1月に発行されました。当時の副会長・会報誌編集委員長野口芳子様(10回生)が寄稿された「Foreword」には次のような記述があります。
「(略)その大変な組織運営を1~5回生の方々が、現役学生の協力の下、2年間しっかりと基礎固めされたうえで、昨春(2002年春)10~13回生へと引き継がれました」
UCは漫然と生き長らえたわけではありません。あくまでも、先輩同輩後輩のご努力とご協力の賜物であることがわかります。
組織というものは人間と同じように新陳代謝しながら存続していきます。ご案内の通り、UCは半世紀を優に超えた存在ですが、その背景には諸先輩と現役学生の「雪かき仕事」のような生命維持作業を必要としました。実は、この作業こそUCの存続意義でもあります。大学を卒業した諸先輩と現役学生の絆を太く逞しく、生命力溢れるものにすることがUCの役割です。毎年神戸大学構内で開催されるUC総会、東京での新社会人歓迎会や同窓会、各地で随時開催される世代を超えた集い、毎年発行される会報誌などの諸活動がUCを息づかせます。このような稀有な場を持ちえた喜びをこれからも支えてくださいますようお願い申し上げます。
本来ならば、編年体で書かれるべき「沿革」でありますが、時間的余裕なく、新生UC誕生前後に焦点を合わせてご説明申し上げましたことをご容赦ください。
(文責:漆嶋稔[27回生])